SSブログ

地域包括支援センターにおける権利擁護 [権利擁護]

2010年1月18日発行
NPO法人 湘南ふくしネットワークオンブズマン
「成年後見支援センターだより」
への寄稿文を掲載します

------------------------------------
特集「地域包括支援センターにおける権利擁護」
地域に必要な権利擁護とは何か

 昨年(09年)の11月に、韓国の大学で開催された学術大会に招かれました。
テーマは、「高齢者長期療養保険制度のもとで高齢者福祉施設の実践的な問題と課題 〜高齢者福祉の現場の権利擁護を中心に〜」でした。
 韓国は08年7月に、ドイツ、日本に次いで公的介護保険制度を導入しました。施行後1年を経過し、韓国の福祉分野の研究者や国家人権委員会の担当者も参加して今後の韓国福祉の権利擁護のありかたを探る学術大会でした。
 湘南ふくしネットワーク(Sネット)理事長の高山さんの教え子でもある韓国の研究者がこの学術大会を開催準備をしたので、日本の福祉現場の実践者としてぼくを招いてくれたのでした。
 その中でぼくは茅ヶ崎での実践例も報告しました。
 茅ヶ崎市は2000年4月に日本の介護保険が導入された半年後に「茅ヶ崎市介護サービス相談員派遣事業」を全国でも先駆けて導入しました。この介護サービス相談員制度は介護保険導入の直前に、国会の委員会で「介護保険導入にはSネットのようなオンブズマンな相談活動が必要」だと審議され導入されたものです。ぼく自身も相談員派遣事業のスーパーバイザーを神奈川県に任命され厚木市を担当しているので、茅ヶ崎市や厚木市の現状を韓国で紹介しました。
 また、茅ヶ崎市は「成年後見支援センター」も、08年から市とSネットの協同事業として市町村としては全国でも先駆けて発足させていることを紹介しました。
 しかし、韓国の研究者は日本をよく研究していて、「社協の地域福祉権利擁護事業はどう機能していますか?」「地域包括支援センターにおける権利擁護は実際にはどのように役立っていますか?」と、報告後の質問の中で尋ねられました。正直、ぼくはドキリとしました。(通訳を通じてのやり取りなのでぼくの記憶に基づく内容を要約、補足しています)
 社協の地域福祉権利擁護事業については、「実際にはお金の管理等が主に注目されており、本来の権利擁護のほんの一部分であること。」「判断能力が不十分な人に対してのサービスなのに、個人と社協との「契約」に最低限の契約能力が利用者に求められている点で矛盾をはらんでいて充分に活用されてるとは言えない」
 また地域包括支援センターにおける権利擁護については、「地域包括の現場では、専門職たちは予防給付プランのルーティンワークに追われ社会福祉士としての専門性をなかなか発揮出来ないのが現状だ。」
 「しかし、そんな中、茅ヶ崎市の主催で茅ヶ崎市成年後見支援ネットワーク連絡協議会が隔月で開催され、市の高齢と障害担当、保健福祉事務所、社協、包括、障害系の相談センター、弁護士・社会福祉士・司法書士・行政書士等々の会の代表らが一同に顔を合わせて成年後見支援に関する具体な事例を共有する機会を持っている。そこで地域に必要な権利擁護とは何かが少しずつだが見えてきて来ている。これはとても貴重な実践だ。また茅ヶ崎市では地域包括の社会福祉士の虐待事例検討会に成年後見支援センターの相談員が隔月で参加し具体な対応例を共有している。」
 海外に出て自分達の活動を説明する事は、今私たちが何をしているのかが鏡のように見えてきます。
 茅ヶ崎市においても地域包括支援センターのありかたが再検討されています。優秀な専門職たちが権利擁護の専門性を充分発揮できる環境を整えるのは行政と市民の責任です。日本の権利擁護を、そして茅ヶ崎の実践も韓国の研究者達は注目しています。

NPO法人 湘南ふくしネットワークオンブズマン 公式サイト
http://www.npo-snet.com/

2010年1月18日発行 NPO法人 湘南ふくしネットワークオンブズマン
「成年後見支援センターだより」
http://www.npo-snet.com/kouhou/Wish05.pdf

kyousitu_2.jpg
(会場となった、ソウルサイバー大学 国際会議室)

2009年11月6日から8日
韓国に行ってきました
韓国版の介護保険(高齢者長期療養保険制度)の施行1年目ということもあり
ソウルサイバー大学の招きで
上記の学術大会で発表の機会をいただきました
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

トラックバック 0

三草二木 西圓寺Ministry of Health a.. ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。